palewhite’s diary

心模様は、日々さまざま。

ちょうど良いあんばいに、差しだす難しさ

四苦八苦して、ようやく書きあがった書評

2つの締め切りから解放されて、関東地方では雪の
ようですが、わたしの心は、台風一過の朝のような、
さっぱりした心持ちを、むかえられています。
たぶん、今日1日は、この爽やかな、ふんわりした
高揚感が続きそうです。

先週から原稿を書くことに、まごまごしていました。
書評については、以下の考えが中心にありました。

・自分が納得のいくものを書きたい。

・難しい課題にも挑戦したい。

・すごく良い作家(私からみて)なので、
 ぜひ、皆さんに紹介したい!


わたしは一直線に、これらを文章にするという
行動にでたのです。

一見悪くはない、動機と行動です。
でも肝心なことが抜けている。
そのことに、今回は気がつきませんでした。

ここには、肝心の読者の方が、その書評をどう読まれるか
という客観性と、読者の方目線の視点が欠けています。

普段は、雑誌の雰囲気と、40代中心の読者層に対応する、
あまり重くなく、さらっと読めて、欲をいえば余韻が残る
適度に端正な文章を、書くように務めていました。

けれど今回は、作者への熱い想いが先走り、気が付くと年表の
ようなものまで持ちだし、何とも中途半端なシロモノと、
硬すぎて論文のようなものを、書いてしまっていたのです。

あれだけ、読者目線で書こうと決めていたのに。

苦い失敗をしましたが、ようやく、編集長も、私も、おそらく
読者の方も、納得できる書評ができあがりました。

熱い情熱を、ぶつけただけの原稿では、プロの原稿とはいえない

読者の方と私を、夫と夫に料理をすすめる妻に
見立てて、ふりかえってみたいと思います。

「これ、私が5時間かけて煮込んだシチューなの。
(だから美味しいでしょ!)」
「…」
夫は、和食の気分だったかもしれません。
それに、調理に5時間かけるのは、料理を作る人の勝手です。

「有機栽培の野菜がたっぷりで、隠し味はシェリー酒で…。」
能書きを述べられても、神妙な顔をして、黙ってスプーンを
口に運んでいる夫は、
(俺はヴァーモントカレーの方が好きなんだよ。)
と思っているかもしれません。

こんなちぐはぐな問答を、危うく誌面でする前に、
がっちりとストップをかけてくださった編集長には
深く感謝しています。

初歩の初歩といった失敗をしましたが、ここで気がつけて
良かったと思います。
わたしは幸運なことに、人を待てる編集長と仕事ができて
いるから、この機会を失敗ではなく、次に生かす貴重な経験に
転化させることができました。

同じ間違いは、繰り返しません。

自分本位な妻から、江戸の人情ものにでてくる小料理屋の
大将や女将のような、

相手の様子をみて、相手の欲するものを、
ちょうど良いころあいで差しだせる、

そんなライターを目指します。

このじたばたから、もし何か拾ってもらえることが
あれば、幸いです。