palewhite’s diary

心模様は、日々さまざま。

親知らずを抜く

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小学生以来の抜歯

昨日親知らずを抜いてもらった。
何年間も気になってはいたけれど、歯茎を切開することが怖くて避けていた。

美容院なら好きだけれど、病院は苦手。
くっきりした眼球やMRIの撮影図?など、先生の了解がでれば見ることすらも避けている。
血液検査で採血するときは倒れそうになるので、ベッドに横たわらせてもらったり、
気がきく看護師さんに採血の間、手を握ってもらったり。
成人女性として、どんなんだろうという駄目駄目ぶりだ。

そんな私が自ら全く痛むことのない親知らずを抜くことを決心し歯医者さんの予約をした。
歯の定期検診は受けるけれど、歯を抜くなんてことはたぶん生涯で2度目。
前回は小学生で、あまりの恐怖に失神しそうになり歯医者さんの椅子の上で
「これは夢だ、夢なら覚めてください!!」と必死にお祈りしたけれど時すでに遅し、
子どもの恐怖心には無頓着な歯科医にあっさりと抜歯されて、涙も凍ったような記憶が
うっすらあるが、詳細はそれこそ霧がかかったようで覚えていない。

今回は親知らずを抜くという行為だけではなく、恐怖心を克服するということがテーマ。
また以前ルイーズ・L・ヘイの著作で、埋没した親知らずは創造性を損なう?という風な
解釈を読んだことがあり、創造性に蓋をして生きてきた私はその1節がずっと頭に残っていた。
幸いなことに今は創造性を発揮して生きているが、もっと創造性を働かせるためにも、
ヴォイストレーニングでより良い成果をだすためにも、親知らずを抜こうと決心した次第。

親知らずに強い歯医者さんを探し、予約を入れる

私の親知らずは下の歯左側の奥歯横で、斜めに埋没した状態で生えている。
この歯を抜くには歯茎を切開しなくてはならないことは素人でもわかる。
怖いし、耐えられるか不安。
少しでも不安要素を減らすため、事前に親知らずを抜くことを得意としている評判の良い
歯医者さんを調べた。1件検索にひっかかる。
自宅からは離れているから私の車の運転テクニックではやや不安だけれど、躊躇はしていられない。
覚悟を決めて電話を入れてみる。詳細を説明すると、明るい声で予約をとってくださった。

歯医者さんにて

予約当日、小雨の降る中知らない道を運転することが億劫になるが、その気持ちが雲のように
流れるのを待ち車に乗り込む。後は音楽を聞きながら自分を自分で自動操縦しながら歯医者さんに
向かった。意外とスムーズに到着。
ドアを開けると、たくさんの患者さんと黒っぽい手術着のような服を着た複数の男女の歯科医、
オレンジ色の制服の歯科衛生士さん達といった皆さんの活気が渦巻く場があった。
良かった、悪くなさそうな歯医者さんで・・・。
何となく伏し目がちになり、問診票を記入し、女性誌を読むが同じページ、活字を
何度も読み返してしまう。

診察開始

それ程待たずにすぐに順番が来て、壁でへだてられたブースへと案内される。
そこには目がくりくりとした、愛くるしい若い女性の先生がすでに待機していらした。

先生の可愛らしさと優しさに心をほぐされながら、病院が苦手なこと、怖がりなことも正直に話す。
先生は親身に話を聞いてくださり、痛みに関しては笑気ガスという麻酔?を使えば痛みを感じなくなるしお酒を飲んだようになるから恐怖心もおきないと思う、ついてはぜひこちらを使ってみては?と提案をしてくださる。
もうここまで来たのだから、後はなるべく怖くなくて痛みが少ない方法を選びたい。

先生のプランでお任せしますと答えた。すると、
「ではかかりたい先生はご希望ございますか?女の先生がいいとか?」
と尋ねられた。同性の先生はほっとするしこの場合有り難いけれど、目的は親知らずの抜歯。
「どなたでもいいのですが、ホームページで見た親知らずに詳しい先生でお願いします。」
と返答する。
「わかりました。当院で最も親知らずに詳しい先生が今なら時間があるので、その先生を
お呼びしますね。」
どうやら私は運よく一番腕の立つ先生にかかることができるようだ。

敏腕歯科医師登場

すぐに今度は男性の先生がブースに入って来られた。
浅黒い肌、にやけた表情、パッとその場が明るくなる印象、これでもしネックレスでもしていたら・・・この人は「チャラ男」だわ!
地方都市で子育て中心に暮らしているので、普段の生活圏には男性誌「LEON」にでてくるような、以前流行った「ちょい悪おやじ」は生息していない。
娘のかかりつけの歯医者さんの先生(男性)も、いかにも良き父親、社会人といった感じの好人物。だから日常と異質な先生の登場に、かなり驚いた。

もう一度先ほどの女性の先生とは別に、チャラ男(←失礼)風の先生と親知らず抜歯について
話し合う。さっきから気が付いていたけれど、この病院は先生と患者がすごく密着して会話をする
形式をとっている。女性の先生とも距離が近かったけれど、男性のこの先生も思い切りお隣で話を
されるので、友達口調の喋りとの相乗効果か、ますますチャラい感を感じてしまう。
いや、これはきっと患者さんとフレンドリーな関係を築くためのこの医院の方針。先生もやはり
親身に話を聞いてくださり、親知らずを抜歯するとどうなるか、その処置法や術後経過を丁寧に
説明してくださった。あとは抜歯するかどうするかの意思確認だけ。

「今日抜歯してくー?あっ、心の準備がもしできてないなら他の日でもいいよー。でも2週間程
後になるかなぁ。」
「先生、今ヴォイストレーニングを習っていて、レッスンがあるのでそちらに支障がない日程が
いいんです。来週はレッスンがお休みだから今日が一番いいと思うんですが?」
「おぉー♪いいねー。1週間くらい都合悪いと思うから、じゃ今日にしとこうか。この歯はねぇ、
大学病院で処置しないといけないレベルって他で言われたと思うけれど・・・、大学病院にも
診察に行ってるから問題ないし。全然いけるから!」
「はい・・・よろしくお願いします。所要時間は何分ぐらいですか?」
「10分てとこ。全部処置終わったら5時かな。時間大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「じゃっ、麻酔して待っててねー♪」

無事に抜歯、その後

先生はただのチャラ男ではなかった。人懐こくて言葉は軽いけれど、ちゃんと患者に寄り添い
治療ができる方だった。歯を真っ二つに切断するときも、抜歯するときも必ず絶妙なタイミング
で声掛けをされ、自分本位なペースではなく、かつ素早く処置をされていく。すべてが優雅。
きっかり10分で抜歯完了。笑気麻酔で朦朧としている私に休んでから帰宅するようにと仰り
感想を尋ねられた。いつのまにか、愛くるしい女性の先生も一緒に微笑んで立ってらっしゃる。
痺れた口で長い言葉は話せないけれど
「ありがとうございました。長年の悩みだった親知らずがなくなって嬉しいです。」
と何とか返事を返し、目で微笑み感謝を伝えた。

1週間後に経過を見てもらいにいく。
外見はチャラ男風(←失礼)中身は敏腕なこれぞプロの先生は、院長先生だった。

最近自分が選択して出向く場所では男女問わず、自由というか型にはまっていないタイプの
人間に遭遇する率が高い。その方達は外見だったり、発言だったり、のびのびと躊躇せず
個性を表現されている。それに加えてその分野で優秀なのも共通点だ。
そんな方達を見るにつけて、私は嬉しい驚きを味わう。
世の中って広くて面白い。