palewhite’s diary

心模様は、日々さまざま。

物語は自分でつくるものだ

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今まで生きてきた、その中に自分のテーマがある

昨日は図書館、今日は娘の塾への送迎の後、書店に呼ばれる。

いつも「少しだけ読んだら帰ろう。」と車のドアを閉めるときに誓うのに、

吸い寄せられる本に出会い、獲得した本と一緒に書店を出たのは入店1時間半後。

今回は忘れずに、経費処理するために「領収証」をもらってきた。

屋号を言うとき、緊張する。屋号を口にして、個人事業主になった自分に形から入る。


スーパーでの買い物を済ませ、帰宅。

映画で見るクリスマスプレゼントの包み紙をバリバリ破るシーンを想像しながら、

はやる気持ちをなだめ、書店の袋からそっと本を取り出す。

装丁を眺め、帯を読み、表紙のお二人のお顔を拝見する。

予算を組み、広告費をうち、宣伝費をかけて出される無数の本の中から

この本を私が連れて帰った理由を分析しながら、読書に取り掛かる。


10月から、私は永遠に超えられない大河のようだった、読者と著者の河を超えた。

本はもう、純粋に楽しむだけのものではない。

原稿を書く側として覚悟を決めると、見る視点が変わってくる。



河を超えられたのは、全て今までの人生があったお蔭だ。

人は誰でも物語の粗筋をもって生まれてくる。

その家族のもとに生まれ、その配偶者と結婚したのも、物語の伏線だ。

生きてきた上での喜びも悲しみも、全部自分の物語へ繋がるサイン。

過去に感謝して、やりたかった人生に跳ぶ

子どもの頃からきっちりと枠のなかに収まるように、好ましいと親や親族が願う世界で

生きていくようレールが敷かれていた。

枠の中で最大限抵抗したけれど、私が望むことは皆が眉をひそめることばかり。

結婚する頃は、好きな人ともっと幸せになるという未来への希望の裏に、

「私が望むことが誰にも喜ばれないなら、お望み通りレールに乗って正統派の女の幸せとやらを

掴ませていただきます。その代わり、もう私に構わないで!」

という、復讐するような、あきらめの気持ちを心に貼り付けていた。

ごめんなさい、元夫。ありがとう、元夫。

夫をサポートする妻、嫁ぎ先の家風に従い、子どもの成長のためにしっかり家庭を守る良き嫁、妻であり、母。

自分自身を生きることは忘れていたけれど、途中から演じているのを忘れるほどに、

しっかりこなしていたと思う。

まどろむような日々。特に娘が乳幼児時代にそんな日々を送れたことには、夫に感謝している。


私は家族、結婚という「枠」に守られていたから、ぱさぱさと痛まずに40代を迎えられたと思う。

自分だけでやってこられたのではないと、気が付くくらいには成長できた。

だから昨年12月の離婚成立からの日々を、守りではなく挑んで生きるエネルギーが温存されていたのだ。


そして当時は過保護でうっとおしくも感じた夫と母の愛情と、愛情にともなう規制や束縛は、

枠の中の私をぎりぎりと締め付け、それをばねに、私はレールの外に広がる世界に踏み出した。

自由な、独立心旺盛で、好奇心旺盛な私を訝り彼らなりの善意で私をまっとうな世界に留めようと

締め付けてくれたおかげで、はねのける気力が湧いて、本当の目的がわかった。

抑圧はパワーの源だ。


6歳ごろ母のお迎えが極端に遅く、保育士さん達が不審に思いだした日があった。

当時は携帯がないので、連絡が取れなかったのだろう。私は下駄箱でエプロンをつけた

保育士さんの困惑を感じとりながら冷静に考えていた。

(ママがこないなら、じぶんひとりでかえるしかない)

保育士さんが一瞬いなくなったのを見て、下駄箱を過ぎ、横開きのドアを開けて

グラウンドを横切る。グラウンドと道路の境のロープを長靴でよっこいしょとまたぎ、

さあ家路にと思ったところで、走ってきた保育士さんたちにつかまった。


それから40年がたち、グラウンドと道路の境のロープは、もう力んでまたがなくても

よくなり、保育士さんたちは姿が見えない。

自分で自分を育てられるようになった私は、気持ち歩幅を大きく、速足で歩きだす。

行き先は、家路ではなくてまだ未定。

進む先に道ができていく。

目的地は心のナビゲーションシステムに生まれた時から入力されているから心配はしていない。

不安に夜中に目を覚ますこともあるけれど、優しく感情を見つめていると、それはドキドキに変わる。

物語をつくりながら生きる。これこそ私が求めていたものだ。

今の状態は未来への伏線で、ストーリーは私がつくっている。


さて、娘の塾のお迎えにいこう。彼女のストーリーは始まりだしたばかりだ。

私ではなく、本人が選択して物語をつくる姿を見守れることを誇りに思う。