palewhite’s diary

心模様は、日々さまざま。

小学校PTAの監査役そして、にわか研究員からの卒業

今週のお題「卒業」f:id:palewhite:20150331222623j:plain

小学校での監査、職場の契約満了私の平成26年度終了


帰宅すると午後9時半過ぎ。

ずっと気がかりだった、娘の通う小学校PTA会計監査役の仕事が無事に終わった。

昨年度本部役員として会計を担当していたため、今年度は会計監査を頼まれた。

仕事が終わる3月31日に監査が入るとは思っていなかったけれど、この日程に決まり

今日は職場の大学→ようやく整った市役所提出書類を市役所に持参→小学校 と最後も

バタバタと駆け回ってしまった。


先週教授たちのプロジェクトの大部分が無事に済み、今週は比較的余裕がでたけれど、

最後の最後に英文記事の要約は完成しなかった。

慣れない仕事に四苦八苦したこともあり、中途半端だなあ自分・・と自分に突っ込む。

IDカードを返しに行くことを教授に伝えにいくと、教授は今日退職する先輩の女性の方と私のために

ベビーブルーに白いリボンをかけた贈り物をいれた紙袋を両手に下げて晴れやかに笑ってくださっていた。


まだ勤務時間は15分あります。お暇のあいさつに伺ったのではないのです。


そう心に呟いたけれど、教授のご厚意を受けて少し早めにお世話になったお礼を述べた。

「・・初心者の私には本当に勉強になりました。ありがとうございます。間違えたりもよくして

申し訳ありませんでした。機会を与えてくださったことに感謝しています。」

「難しい仕事だから。初めてだから。」微笑む教授の澄んだ瞳。

その瞳を真っ直ぐに見ている私に、温かいものが伝わってくる。

お忙しいのに、わざわざ北欧雑貨を扱うセレクトショップに出向いて私たちの贈り物を

選んでくださった先生の優しさと女性らしい細やかな気配りが嬉しい。

それと同時に先生の女性らしい心遣いに、かえって学び教えることを生業とする人の真摯さが影絵のように

浮かんできて、心にずしんとくる。嫌な衝撃ではなくて、誰もが自分の人生の持ち場で生きているのだなという

重力のような重み。一心不乱に論文を書かれる姿も、たおやかに談笑される姿もどれも全部が合わさって、

ヒトは生きている。私もそう。

娘のことに心を痛めて泣きそうになって気もそぞろな勤務時間も、昼休みに大学構内を歩き晴天の空を見て

何の不安もなく充足している瞬間も全て合わさって生きている。



ここでこの方とこの環境で働けたことが最高の贈り物だった。


同じ日に退職の先輩と教授たち、留学生たちと名残を惜しみながら別れを言い合い、やっと全貌が掴めてきた

大学を後にする。私は大学の雰囲気が好き。学び何かを生み出す静かだけれど熱い環境が心地よい。

この感覚は、もう身体に沁みこんだ。

またひとつ快適な空間を発見して好きなモノリストが増えていく。

大学を卒業するってこんな気持ちかな、とそんな訳はないのにそよそよした風にふかれ駐車場に向かうときに

ふと考えた。

もしも大学を卒業する学生たちと私の気持ちに共通点があるとしたら、それはたぶん「希望」。

小学校に向かい通帳、領収書の世界に没頭する

仕事の最終日でやはり気持ちが高揚する分疲れてもいたけれど、まだ今日は終わらない。

平成26年度●●小学校の会計監査をしなければ。

もうボランティアやPTA活動が前世のようになっている自分には、この役目は不思議な感じがするが、

「厳しくやりますよ♪」と決めて自転車ではなく車で小学校へ向かう。

校長室にはずっしりした領収書綴りと通帳を準備した教頭先生と、会計担当のPTA本部役員さんたちが

待っていた。私達監査役に緊張した様子。

私達は経理のプロではない。けれど馴れ合いは嫌だ。

一生懸命作成された領収証等を丁寧に通帳と照らしあわせて確認していく。

ほとんど大丈夫だったけれど、やはり数か所訂正を要するところがあった。

今年度会計のお一人はルールを曲げる方向で対応を・・・とやんわり仰る。

無難におさめるママ友的お付き合いなら「そうよね。」がこの場での阿吽の呼吸だろうなと

考えながらも、「厳しくしますから♪」と心で呟き、言葉は柔らかく、でもにこやかに正論を吐いてみる。

・・・意外と大丈夫だ。周りの方は正統派の意見?の方へ密かにエールを送ってくださっているのが、

何故か肌で感じ取れる。

その後双方が納得できる解決策が見事に見つかり、訂正はなされた。

明日からは新しい小学校に赴任される教頭先生と、子供たちを家に残し集まる監査役と会計担当役員の私たち。

集中して愚直な作業をこなし、会計報告書類を確認し、皆で数字の世界に没頭してゆく。

2時間半近く数字を追って疲れた。

けれど、会計担当役員の方たちはこの資料を作成するのに時間がかかったことだろう、

と昨年度経験したからわかる。

私が言うのは僭越だとは思ったけれど、

「大変だったでしょう。おつかれさまでした。」

と何度も言葉を繰り返してしまった。

ほっとして、表情が柔らかくなり、嬉しそうな会計担当役員さんたちを見て、自分もほっとして嬉しくなる。

全てが終了して、監査役のもう一人と校舎を出てやっと平成26年度のPTA活動から卒業できたことを

互いに喜び合う。

昨年度私たちは本部役員で会計担当役員の立場だった。

仲間を残しPTA本部役員としては一足早く引退?していたので、監査役くらいは引き受けねば・・・と二人で決めていた。

残っていた仲間も今年度でPTAは卒業。やっと皆でこころおきなくPTAを卒業した安堵感に浸れる。

今までの私からの卒業

「あれっ、△△さん←私、自転車じゃないの?」

「うん、車で来たの♪」

保護者たるもの自転車でくるべき、それが好ましいという暗黙のルール。

春休みだし駐車スペースが埋まっているはずがないことを見込み、躊躇なく車で学校に乗りつけた。

良き保護者だった1年前の残滓を捨てて身軽になった私。

新しく翻訳の世界や、大学教授たちの住む世界を体験した私は、旧き経験と直近の経験を経て

また新しい場所へ移動する。


教授の贈り物はイッタラの絵皿だった。

孔雀かとおもったら狐かな?わからない。

赤絵を思わせる色遣いのこのお皿に何をもったらいいだろう。

季節外れだけれど洋ナシが似合いそう。



平成26年度、私は

良き娘、貞淑な妻、本家の長男の嫁、好ましい保護者、全部卒業した。

大人になっても卒業は、ほんの少しさみしくて、すがすがしい。