palewhite’s diary

心模様は、日々さまざま。

手持ちのカード(能力)を組み合わせることで、新しい価値を創造する

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創業スクール最後の授業、プレゼンで自分をどう売り込むか

創業スクールの最終課題は、中小企業診断士の方達の前での
パワーポイントを使ったプレゼンだった。
プレゼンで優秀者に選ばれたら全国大会へ出場することになるらしい。
審査を受けながらプレゼンをするのは人生初の体験だ。
暖房が利いているだけではなく、緊張と軽い興奮に身体が火照った。

他の受講生の女性達は、紅茶専門店や外国人向けのエステなど事業
形態や商品、顧客が見えやすい分野での起業を目指している。
私の場合はカタチのない商品を売るライターなので、特別に出版社さま
向けのプレゼンをしてもよかろうということになり、私は出版社さまに
他のライターとの違いをアピールする方向でプレゼンをすることになった。

わたしに、何ができるのだろう。
わたしの強みは何?
収益はどのようにあげるのか。

案を練りあぐねていつものように図書館に行き、「職業、ブックライター」
という上阪徹さんの著書に遭遇する。タイトルが光って見えた本のページを
読み進め、ブックライターなら今までの私の人生が生かせる!と直感して、
ようやくプレゼンの案がまとまった。タイトルは、
「書籍と音声の融合で出版市場の活性化を目指すブックライター ○○」だ。

ブックライターとは、企業や個人に取材をして言葉をひきだし著者になりかわり
本の原稿を書くライターのことを指す。最も近い言葉はゴーストライター
(代筆者)だろうか。ゴーストライターにはない企画力・取材力を持つのが
ブックライターだと本を読み終えて感じている。

ブックライターとしての私の優位性とは何か

ブックライターの仕事で重要なのは、「聴く力」。まず著者に好奇心を持って
ライターが働きかけることで「あなたに興味をもっています」と著者に知らしめ
心を開いてもらう。その後著者が発する言葉をまとめるのだが、ライターには
「書くこと」は得意でもその他が不得手なライターが少なからずいるらしい。
挨拶や基本的な連絡事項ができない、締切が守れない、著者の顔を見ずにメモを
取るなど、社会人としての基本ができておらず、他者との交流が苦手なタイプが
存在するらしいのだ。

私は転勤族の妻として全国を渡り歩き、継続した仕事のキャリアがない。
その代わり職種は違えど、「相手の気持ちをおもんばかる」仕事にずっと
ついてきた。対人スキル、信頼関係を確立させる力は、ライター一筋の人間より
高い自信がある。金融機関での会計事務所担当、子ども英会話講師、カルチャー
センター講師など、自分が脇役となり、相手から効果をひきだすことを常に考える
仕事についてきたのが、ブックライターとしての強みだ。

それ以外に私は、「聴く力」と「書く力」の他に、「話す力」を持っている。
昨年ヴォイストレーニングのレッスンを受講し、今までの講師経験を生かした
ナレーションや朗読ができる。
「話す」こともできるライターは、それ程数多くはいない。

2014年、出版業界は戦後最大の出版不況を迎えた。
一方「本を耳で読む(聴く)」オーディオブック市場は拡大を続けている。
今年出版社とオーディオブック企業が共同で協会を発足させたが、それは書籍と
音声を合わせた新しい市場拡大を予想しての布石だと考えられる。
そこで私の出番となる。

現在出版社はオーディオブックにはタッチしていないが、私はブックライターと
して、著者の本に音声のプラスαをつけることの企画提案ができ、自分で台本を
作り音声ナレーションまでをこなすことが可能だ。もし音声アプリなど1冊の本に
付随したサービスを作れば、本の単価は上げずとも音声ダウンロードなどを通じ、
本およ著者の認知度は上がり、加えて本以外からの収益もあがる。
今まで出版社がオーディオブック企業に任せていた分野であっても、私のような
ライターが仕事を行うことで出版社の利益が増えるだけではなく、他のコンテン
ツを作ることもできるようになる。
ブックライターの私も出版社も著者も、全員が嬉しい結果を手にすることができる
企画提案力も私の強みだ。言葉と音声を掛け合わせることで、新しい市場への
商品価値を生み出す可能性があることを、実際に本の一節を朗読し実演をまじえ
ながらプレゼンをした。

初めてのパワーポイントを使ったプレゼンをやり遂げたことで、私は
自分の可能性がまた少し広がった気がする。
プレゼン資料を作成し、ビジネスを成り立たせる筋道を思考するのは、
すっごく大変だったけれど、やってみると爽快で楽しい。

9月からずっと、現状のライターの仕事のやり方に加える何かを探していた。
プレゼンの課題を与えられ、ブックライターという仕事の魅力に惹きつけられ、
その業務のなかでなら自分の今までの経験や身につけた能力を生かせることに
気がついた。
継続したキャリアがなくても、若くなくても、自分があきらめなければ、
マイナスはオセロゲームの黒が白になるようにプラスに転じられる。
外に解決策を求める前に、自分の棚卸をする。
内にある自分の能力を掛け合わせることで、勝てる可能性は俄然増える。

このままの自分ではいけないとヒトは思いがちだと思う。
ライターの仕事をして私は、ヒトでも仕事でも人生でも、その素材を
どの面から見つめ、どう加工して差し出すかの見せ方は何万通りもある
のだと感じている。

一番美味しい料理は、素材本来の味を生かすシンプルなものだったりする。
自分に足りないものを埋める、足すのではなく、まずフラットに現状を
受け止め視点を変えて自分を見つめると、自分の良さが見えてくる。
否定からではなく、肯定から始める方が、きっと創造するものは喜びに満ちて
ヒトの心の琴線に触れるものになるのではないか。

今回の私の作品であるプレゼンは、審査員の中小企業診断士の方達に好意的に
迎えられた。
さあ、進むべき道がまた前方に広がって見えてきた。
視界はクリア。左脳を使いすぎたが、今回は心地よい疲労感が気持ち良い。
物語の世界と、ビジネス書の世界、両方の世界の住人に私はなっている。