palewhite’s diary

心模様は、日々さまざま。

愛された記憶

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今週のお題「ふるさと・夏」

子どもの頃、お盆での集まり

毎年夏には母の実家へお泊りに出かけていた。
叔父や叔母や私の従兄弟たちが一堂に会する夏。
久しぶりにたくさんの従兄弟たちと遊べる嬉しさと興奮で、
初日はいつもなかなか寝付けなかった。

西瓜、少し甘めの干しシイタケの出汁で食べる素麺、普段はあまり飲まないコーラ。
一部屋に大勢が集まる、むぅっとした暑さの夜。
家では見ない相撲中継が映るテレビを眺めながら、従兄弟の攻撃をかわす。
蚊に刺されないようにと、そうっと垂らされた蚊帳にジャンプ。
祖父母の家での生活は、同じパターンで毎年繰りかえされた。

記憶に残る顔

祖父母の家に到着し、玄関の引き戸を勢いよくあけると、
広く長い玄関の奥から祖母が優しい笑みを浮かべて近づいてくる。
その瞬間から、今年の夏も楽しい時間が過ごせることがわかる。
私は夏のお泊りが好きだった。

もう祖父母は亡くなり、叔父が跡を継いだ家には集まらなくなった。
私は結婚し、自分が素麺を作る立場となった。
素麺が好きだと言うと、お代わりを何度も勧めてくれた祖母。
あのほの甘い干しシイタケの出汁で食べる素麺は、
祖母が亡くなってからは食べたことがない。

笑顔と心のこもった食事。
もう一度味わいたい、あの瞬間。